胃カメラ
ピロリ菌
胃がんの8割がピロリ菌感染によるものといわれます。
胃疾患のリスクを軽減するため、感染検査や除菌治療をおすすめします。
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- ピロリ菌とは
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ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する細菌です。
除菌しない限り、胃の中に生息し続けます。
ピロリ菌は、人の胃から発見された0.5 × 2.5~4.0μmサイズの細菌で、胃の中を回転しながら移動するための数本のべん毛を持っています。
大気中で死滅してしまう弱い菌ですが、感染していったん胃の粘膜に侵入すると、胃の中にある尿素を分解してアンモニアのバリアを作り出し、強い酸性の胃酸の中でも除菌しない限り生息し続けます。
ピロリ菌の感染経路は不明ですが、免疫機能が十分ではない幼児期に、飲み水や食べ物を介して口から菌が入ることで感染する可能性が高いとされています。 -
- ピロリ菌と疾病
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ピロリ菌に感染したほとんどの人に胃炎がおこり、
胃潰瘍・十二指腸潰瘍、そして胃がんのリスクを高めます。
ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌がつくりだすアンモニアなどによって胃の粘膜が傷つけられ、慢性胃炎が起こります。
この炎症が続くことで、胃の粘膜が壊れ、薄くザラザラな状態になる萎縮性胃炎となり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こします。
さらに、ピロリ菌が作り出すCagAというたんぱく質が、潰瘍になった細胞をがん化させることで、胃がんの発生原因になるとされています。 【ピロリ菌と胃がんの関係性】 ピロリ菌感染のある人は、感染していない人に比べて
胃がんの発生率が格段にアップします -
- ピロリ菌の検査
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ピロリ菌の検査には、胃カメラ(内視鏡)を使用して組織検査を行うものと、
血液や便、呼気などで調べるものがあります。 胃カメラによる検査で胃炎が確認されれば、除菌治療は保険適用となります。
胃カメラ(内視鏡)による検査
胃カメラ ■ 病理検査(組織鏡検法)採取した胃の粘膜組織を顕微鏡で観察します。
■ 迅速ウレアーゼ試験採取した胃の粘膜を反応液による色調の変化で診断します。
■ 培養法採取した胃の粘膜を5~7日間培養して診断します。
胃カメラ(内視鏡)を用いない検査
■ 尿素呼気試験法診断薬を服用し、服用前後の息を集めて診断します。
■ 抗体測定採血・採尿し、血液中や尿中の抗体を測定します。
■ 抗原測定便を採取し、抗原を調べます。
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- ピロリ菌の除菌
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ピロリ菌の除菌治療には、3種類の内服薬を用います。
一週間服用することで、約8割の方は除菌に成功すると報告されています。
除菌治療の流れ
【一次除菌】 胃酸の分泌を抑制する薬と2種類の抗生物質を7日間服用4週間【除菌判定】 ピロリ菌が除菌されているか検査除菌成功※成功率は70%以上除菌失敗【二次除菌】 1種類の抗生物質を変更し、3種類の薬を7日間服用二次除菌までで90-95%の確率で除菌は成功します。それでも除菌できない方は三次除菌を行いますが、その場合、保険適用外となります。除菌に成功しても、胃がんなどの病気にならないわけではありません。
ピロリ菌の感染期間が長ければ、胃の粘膜が正常に戻るのに時間を要します。
除菌後も定期的に内視鏡検査などを受け、胃の状態を確認しましょう。